STEP と IGES のインポート
STEP と IGES データのインポート
はじめに
STEP(Standard for the Exchange of Product Data、ISO 10303)と IGES(Initial Graphics Exchange Specification)は、異なるエンジニアリングシステム間で 3D CAD データや幾何データを交換するための、長い歴史を持つ中立的なファイル形式です。 BIM や施設モデリングのためにセマンティック情報や関係情報をエンコードする IFC とは異なり、STEP と IGES は主に純粋なジオメトリ — ソリッド、サーフェス、曲線、アセンブリ — を記述し、詳細なオブジェクト分類や材料のコンテキストは含みません。
どちらの形式も機械、製造、プラント設計の分野で広く使用されており、FRI3D はジオメトリのみのモデル(機械筐体、ダクト、装置ハウジングなど)をシミュレーション環境へ統合しやすくするために、これらのインポートをサポートしています。
⚠️ 重要な注意: FRI3D における STEP インポート機能は現在限定的です。基本的なジオメトリのインポートはサポートされ ていますが、複雑なアセンブリ、高度な BREP 操作、パラメトリックデータ、一部の STEP アプリケーションプロトコル(AP)などの高度な STEP 機能は完全にはサポートされない場合があります。インポートの信頼性は、ソース CAD ソフトウェアやエクスポート設定によって異なる可能性があります。堅牢なジオメトリインポートを必要とする本番ワークフローでは、建物モデルには IFC 形式の使用を検討するか、対象のファイルで STEP インポートの互換性を事前に検証してください。
形式の概要
| 形式 | 規格 | 説明 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| STEP (.stp, .step) | ISO 10303 | 3D 製品データのためのモダンで拡張可能なスキーマ。境界表現(BREP)によってソリッド、アセンブリ、トポロジーを表現します。 | 機械設計、産業部品、装置レイアウト |
| IGES (.igs, .iges) | ANSI Y14.26M / NIST | サーフェス、ワイヤーフレーム、注記を格納するレガシー交換形式。 | 旧来の CAD データ、ワイヤーフレームおよびサーフェスモデル |
STEP ファイルは、トポロジーとジオメトリを参照するエンティティ(例: ADVANCED_FACE、EDGE_LOOP、BREP_SOLID)として構造化されています。
IGES ファイルは、曲線、サーフェス、注記を定義するディレクトリエントリとパラメータデータセクションのリストを格納します。
サポートされるエンティティとクラス
FRI3D のインポーターは、製品セマンティクス全体ではなくジオメトリの抽出に焦点を当てています。 一般的に認識されるエンティティタイプは以下のとおりです。
| カテゴリ | STEP エンティティ | IGES エンティティ | 説明 |
|---|---|---|---|
| ソリッド | ADVANCED_BREP_SHAPE_REPRESENTATION, MANIFOLD_SOLID_BREP, CLOSED_SHELL | Type 186 (Manifold Solid BREP) | 体積表現に使用される閉じたソリッド |
| サーフェス | ADVANCED_FACE, SURFACE_OF_LINEAR_EXTRUSION | Type 128 (NURBS Surface) | 部品境界を表すフェイスまたはパッチ |
| 曲線 / エッジ | EDGE_CURVE, VERTEX_POINT, CIRCLE, LINE | Type 126 (NURBS Curve), 100 (Circular Arc), 110 (Line) | 境界エッジとワイヤーフレーム |
| アセンブリ | SHAPE_DEFINITION_REPRESENTATION, NEXT_ASSEMBLY_USAGE_OCCURRENCE | — | 部品とサブアセンブリの階層的な構成 |
| 属性(限定的) | PRODUCT_DEFINITION, MATERIAL_DESIGNATION | — | 任意の名前や材料メタデータ(多くの場合不完全) |
⚠️ 注意: 多くの STEP および IGES エクスポーターは、これらのエンティティの構成方法が大きく異なります。 同じ部品が、あるファイルでは
ADVANCED_FACEのグループとして、別のファイルでは入れ子になったBREP_SOLIDとして表現されることがあります。 その結果、インポートの信頼性はソフトウェアのソースによって異なる場合があります。
FRI3D でのインポートワークフロー
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ファイル検出 FRI3D は
.stp、.step、.igs、.iges拡張子を自動的に検出します。 -
解析 ジオメトリは、BREP および NURBS サーフェスを扱う Open Cascade (OCCT) カーネルを使用して解析されます。
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トポロジーの再構築 ソリッド、シェル、サーフェスは、シミュレーションや可視化に適した水密(ウォータータイト)メッシュへ再構築されます。
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タグ付けと分類 STEP/IGES には本来のセマンティックタグがないため、FRI3D は命名規則(部品名、レイヤー識別子、カラー属性など)に基づいてカテゴリを推定します。
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簡略化と変換 ジオメトリは、火災・煙・CFD モジュールで使用するために、必要に応じて三角形メッシュまたはバウンディングボリュームへ簡略化されます。
インポートオプション
File → Import → BIM/CAD でインポートダイアログが開きます。ファイル一覧の下に CAD import options グループがあり、選択したファイル形式に該当するオプションのみが有効になります。
| オプション | 対象 | 既定値 | 内容 |
|---|---|---|---|
| Zone | すべての CAD ファイル | 現在のゾーン | インポートしたジオメトリを受け取るゾーン(区画)。 |
| File unit | OBJ、STL | メートル | OBJ と STL のファイルには 単位が記録されていません。エクスポート時の単位(メートル、センチメートル、ミリメートル、インチ、フィート)を選択します。 |
| Up axis | OBJ、STL | 形式の既定(OBJ は Y 軸が上、STL は Z 軸が上) | OBJ と STL のファイルには上方向の軸が記録されていません。OBJ の多くは 3D ツール(Y 軸が上)、STL の多くは CAD ツール(Z 軸が上)から作られます。モデルが横倒しで取り込まれた場合に変更します。 |
| Mesh tolerance | STEP、IGES | 5 mm | 曲面に三角形をどれだけ近づけるか。小さいほど滑らかですが、表示が重くなります。シミュレーションはアイテムのバウンディングボックスを使用するため、影響を受けません。 |
STEP、IGES、glTF/GLB のファイルは単位と向きを記録しているため、FRI3D が自動的にメートルに変換します。取り込んだモデルの大きさが明らかにおかしい場合はインポートログに表示されるので、ファイルの単位を確認してください。
ファイルフィルターには、FRI3D が読み込める形式のみが表示されます: BIM/IFC、3D CAD(STEP/IGES)、3D メッシュ(glTF/GLB/OBJ/STL)。FBX、DAE、USD、PLY、DXF は、変換先の形式を示すメッセージとともに拒否されます。
コマンドライン: Import_CAD
同じオプションをコマンドラインからも指定できます。
Import_CAD.exe <cad file> <project> [zone] [T] [-unit m|cm|mm|in|ft] [-upAxis y|z] [-meshTolerance <metres>]
zoneはジオメトリを受け取るゾーンです。Tを指定すると、先に<project>に新しい プロジェクトを作成します。-unitと-upAxisは OBJ と STL にのみ適用されます。-meshToleranceの単位はメートルです(5 mm なら-meshTolerance 0.005)。STEP と IGES に適用されます。
Import_CAD.exe C:\Models\pump_skid.step C:\Projects\plant.fri3d Room101
Import_CAD.exe C:\Models\scan.stl C:\Projects\plant.fri3d Room101 -unit mm -upAxis z
信頼性と制限事項
STEP と IGES のアセンブリは次のように取り込まれます。
- 配置された部品はそれぞれ 1 つのアイテムとして、アセンブリ内の位置に取り込まれます。複数回配置された部品やミラー配置の部品も含みます。入れ子のサブアセンブリは 1 回だけ取り込まれます。
- ジオメトリは、ファイルに記録された単位からメートルに変換されます。
- 部品名は保持されます。名前のない部品や単独の面も取り込まれます。
⚠️ 制限事項:
- パラメトリックデータやフィーチャーベースのモデリング情報は保持されません。
- AP203、AP214、AP242 以外の一部の STEP アプリケーションプロトコル(AP)は、サポートが限定的な場合があります。
- 結果は、ソース CAD ソフトウェアとエクスポート設定によって異なります。
建物モデルには IFC 形式を推奨します。
一般的な制限事項
- ファイル間でセマンティックな一貫性は保証されません — 異なる CAD ツールからエクスポートされた同一の部品 が、まったく異なる構造を持つことがあります。
- 多くのファイルには非多様体(non-manifold)ジオメトリや不完全なトポロジーが含まれており、隙間やソリッドの誤分類につながる可能性があります。
- IGES はサーフェスの向きや体積の閉合性を欠くことが多く、後処理や手動でのクリーンアップが必要になります。
- 属性および材料データは、通常は確実には保持されません。
したがって、FRI3D はこれらの形式を可視化やおおよその幾何学的コンテキストのためにインポートできますが、堅牢でセマンティックに一貫したワークフローには IFC インポートを推奨します。
サポートされるバージョン
| 形式 | サポートされるバージョン | 備考 |
|---|---|---|
| STEP | ISO 10303-21 (AP203, AP214, AP242) | ソリッド BREP 定義を含む AP214 または AP242 ファイルで最良の結果が得られます |
| IGES | バージョン 5.3 以降 | サーフェスおよびソリッドのエンティティタイプのみに限定されます |